カタパルト式スープレックス

イノベーションに効く世界の情報を日本語で

個人発世界へ!官製のキュレーションプロジェクト『クールジャパン』はもうやめない?

TL;DR クールジャパンって『NAVERまとめ』みたいなキュレーションサイトと同じだよね。さらにコンバージョンも悪そうだ!

Coplays Neon Genesis Evangelion Katsucon 2013

 お国柄ではなく、個性で勝負をする時代といいますか。すでに垣根は取り払われて、個人の個性で勝負ができるボーダレスの時代に突入しました。やろうと思えばいつでもKickstarterで世界中から資金調達できるし、YouTubeやSpotifySoundcloudで個人が何のコネもなく映画/音楽デビューできます。Etsyで自分が作った手作り小物も世界に売れます。いつの間にか、そうなってしまったんです。

 グローバルにならなきゃ!と随分と言われてきました。英語が話せないとダメだ!とか。その反動でグローバルなんてクソ喰らえ!みたいなことも言われはじめてますね!ただ、そんなことを議論すること自体がもう古臭くなってしまいましたよね。クールジャパンみたいな「日本推し」もおそらく戦略的にはもう古臭いんですよ。クールジャパンじゃないほうが世界で活躍しちゃってる。

PPAPでわかった。クールジャパンじゃなくても世界に受け入れられる。

 イギリスのビートルズがアメリカのチャートを席巻した時はかなり驚かれたそうです。他にもクラフトヴェルクや『ロックバルーンは99』のネーナや『ロック・ミー・アマデウス』のファルコがドイツということで珍しがられたり、オーストラリアのミッドナイトオイルとかINXSとか。

 何かの雑誌で読んだんですが、YMOもはじめてアメリカでコンサートをした時に「日本的な音楽じゃなくってちょっと期待と違った」みたいなことを言われて坂本龍一さんも「ざけんな!」と思ったとか。まあ、昔はそうだったんです。

 でも、最近はあまりアーティストの国籍って気にしないですよね。"In The Name of Love"が大ヒットしているマーティン・ギャリックスはオランダ人だけど、そんなこと意識しないですよね。「オランダっぽくない」とか言わない。わざわざそんなこと騒がない。トーヴ・ロー(Tove Lo)とか面白い名前だなあ、くらいにしか思わない。Loveをちょっと変えた芸名なのかな?とか。スウェーデンの名前なんですけどね。

 Spotifyでよく聴かれている曲を見ると、ノルウェーとか、オランダとか、オーストラリアとか、ニュージーランドとかいろんな国のアーティストが特に意識されることなく聴かれていることがわかります。

 PPAPが大ヒットしたピコ太郎さんですが、あれも単純にPPAPが面白いからヒットしたんですよね、日本のコンテンツとかクールジャパンとは全く無関係に。ジャスティン・ビーバーも「わお!日本的でおもしれえ!」なんて言わないわけです。単に「インターネットでお気に入りのビデオ😂😂😂😂😂😂😂😂」です。

世界的なビール醸造所になるのに資金はいらない

 クラウドファンディングで作るビール醸造所が増えています。最初はバーや自宅のキッチンで作って、フェスで売って、ファン層を広げて、クラウドファンディング!というのがパターンです。ワインづくりと違って個人的な趣味からはじめられる。

 そうなると個性で勝負になるんですよね。アメリカのクラフトビールも、ヨーロッパのクラフトビールも日本のクラフトビールで地域の差はほとんどない。できることが多いので色々なバラエティーを醸造所で作れる。だから醸造所ごとの差の方が大きいんです。

 シエラ・ネヴァダとミッケラーを比べる時にアメリカ的かデンマーク的かなんて意識しないですよ。シエラ・ネヴァダは古参だからちょっと保守的な感じ、ミッケラーはファントムだから冒険的。パッケージングもシエラ・ネヴァダはクラシックでミッケラーはモダン(写真上がシエラ・ネヴァダ、下がミッケラー)そんな感じですよね。おいしければそれでいい。自分に合うビールならそれでいいという感じ。

Sierra Nevada Pale Ale

Mikkeller single hops

 クラフトビールっていろんな材料を加えて面白いビールを作れます。果汁を入れたり、スパイスを入れたり。じゃあ、そこでお国柄みたいなものを出すかといえば、そうじゃない気がする。ブリュードッグは柑橘系のイメージがすごく強いですが、それはスコットランドというお国柄とは全く関係ない。

 このようにクラフトビールはボーダレスなので国をまたいだ醸造所同士のコラボも盛んです。 ブリュードッグ(スコットランド)とミッケラー(デンマーク)とノグネ(ノルウェー)が作った"Black Tokyo Horizon"とかね。

ghostdrinker.blogspot.jp

 日本のクラフトビールは日本ならではの材料を使ったりする。それでおいしければいいんですが……どうでしょう?

日本人から世界の人たちに伝わったラブレター

 Nintendoが世界的にゲームの代名詞だった時代がありました。もちろん、今でも日本のゲームは大人気です。ただ、ゲームがどこの国で作られたかなどあまり意識されなくなったのも事実ですよね。世界的な大ヒットを続けているマインクラフトキャンディークラッシュクラッシュ・オブ・クランがどこの国で作られたゲームかなんてよほどゲームを追っかけている人じゃないと気にもしないのではないでしょうか?(マインクラフトはスウェーデンのMojang、キャンディークラッシュはスウェーデンのKing、クラッシュ・オブ・クランはフィンランドのSupercellが開発)

 『人生ゲーム』というボードゲームがありますが、あれはアメリカのゲームをタカラトミーが日本向けに売っているんです。他にも『モノポリー』とか『UNO』とか遊んだことありますよね?ああいったアナログゲームがジワジワと盛り上がっていて、新作がたくさん出ています。

 ゲームは世界観が大事なので当然ながら日本をモチーフとしたゲームもたくさんあります。『TAKENOKO』とか『KING OF TOKYO』とか『SUSHI GO!』などが大ヒットしました。多分もっとあります。面白いのが、こうした日本をモチーフにして大ヒットしたゲームの作者は日本人じゃないということです。

 そして中世のヨーロッパっぽい架空の世界をモチーフとして大ヒットしたカードゲーム『ラブレター』を作ったのが日本人のゲームデザイナーであるカナイセイジさんでした。この『ラブレター』のすごいところはいっときの流行りではなく、定番ゲームになりそうな感じなところです。世界でですよ!

クールジャパンは結局のところ「まとめサイト」

 クールジャパンの定義ってよくわからないのですが、パッと頭に思い浮かぶのって『AKIRA』の大友克洋とか、最近だと『進撃の巨人』の諫山創だったり。アーティストだと村上隆や会田誠とか。何と言いますか結局のところ突出した個人の力量に頼りきった官製のキュレーションプロジェクトという気がしてならないんですよね。「まとめサイト」とあまり変わらない。

 クールジャパンという「まとめサイト」からのコンバージョンがよければそれでいいんですが、どうやらそうでもないらしい。だったらやめたほうがよくないっすか?

関連記事

kazuyan.hatenablog.com

kazuyan.hatenablog.com